のびしろしかないわ

完全なる社会不適合者(25)のくたびれ日記

頑張れない人間

「おい、お前は今まで何か頑張ったことはあるのか?」

 

部長が不思議そうに自分に訊ねてきた。

うーん、、

 

見た目からしてやる気がなく、真顔は死んでると言われる。

気だるそうなイメージをもたれてしまう。

これで学生時代はよく怒られたもんだ。

 

何となく適当に生きてきた。

みんなやってるからやるか、これしなきゃ怒られるか。

 

小学校から高校まで同じスポーツをやってきた。

好きだから続けてたが、それ以上にどこかに属していないと不安な自分、人として終わってしまうのではないかという不安もあった。

新しいことを始めるのが面倒だったし、何気に地位が高い部活だったのでそのまま惰性で続けてきた。

練習は大嫌い。

居残りで練習をするような熱い人間も正直苦手だった。

ある程度練習はしたが楽な方へ楽な方へ理由をつけて逃げていた。

 

部活を引退し、大学受験。

高校から落ちこぼれてしまったので、頭脳は中学生のままである。

推薦を貰える成績でもなく、受験勉強。

思うように伸びず、みんなが追い込みをしていた冬に僕は塾にも行かなくなった。行けなくなった。冬休み中塾に顔を出さなくなったので死亡説が流れたらしいが(笑)

ここでも頑張れなかった。

 

大学は何とか受かった。1つだけ。

大して頭の良くない大学。

唯一の救いはある程度名の知られている大学であったことくらいか。

結局4年間、身についたことは何もなかった。

勉強も頑張れなかった。

大学に行かなくなったり、途中でやめようとしたり、もう無茶苦茶だった。

だが、4年生になる前から就活が始まる。

もともと就職する気なんかなかったので、みんながインターンや就活対策講座に行ってる中、自分はただボーっとしていた。

が、お金がない。世間体。せっかく大学まで行かしてくれた親にも申し訳ない。

働かないとダメ人間になってしまうと思ったので、とりあえず就職くらいはしとくかって感じで。

 

業界も適当に決め、適当に嘘をつき、顔が死んでいるのを隠すため面接でニコニコしていただけである。

超売り手市場ということもあり、

就活の結果、Fラン大学から一部上場企業に内定を貰えた。

もうこれが自分のゴールだった。

就職してからがスタートなのに自分自身にとっては内定がゴールだった。

就活を夏までに適当に終わらせてただただ遊びたかっただけである。

就活も頑張れなかった。

 

入社。

なぜか無能な自分が会社の中でもきついと言われている部署に配属されてしまった。

無能な部分というのを採用面接では隠せた。と思う。

面接ではある程度決まったことを聞かれるだけなので、入念に用意したことをペラペラ喋っただけである。そこで評価されてしまったのだろうか。地方に飛ばされてのんびりやるのもありだなと思っていた矢先、まさかの出来事だった。

いまだに自分がここの部署に配属されたのが謎である。

研修後に配属が決まっていれば、また違った結果となっただろう。

入社後の研修では人前で緊張して何もうまく話せない、積極的に動けない、頭の回転が遅く、グループでも役に立てない、しまいには居眠りをしてしまう、自分が何もできない絵にかいたようなただの無能な人間であることを改めて実感しただけの研修だった。

人事もこれには頭を抱えたであろう。

だがそこで何か自分自身を変えようとかそういうことも考えられなかった。

 

そして配属。

内定でゴールの人間だ。

例えるなら箱根駅伝でタスキを渡したランナーのような状態である。

(ランナーの方、すいません)

配属から何かを成し遂げたことがなく、やることやることが全部失敗している。

無能さを晒しているだけだ。

そして何も教えてくれない上司たち。

わからなくてもやるのが仕事。だと言い聞かせ、自分なりに、やる気がないなりに膨大な量の仕事をこなそうとしているが終わらない。

そして上司にはミスをしたら呆れられ、ほとんど助けてもらえず、仕事が遅く毎日文句を言われるだけの生活。

わからないまま営業をしているので客にも相手にされなかったり怒られたり。

35歳以上しかいない部署。しかも全員転職組。

理解者がいない環境。話し相手がいない環境。疎外感。

仕事に対する興味が湧かず、何か言われても響かないのである。

そしてモチベーションが0。

もう辞めてしまいたい。

今までで一番頑張れない環境である。

 

何とか気持ちをポジティブにさせようと日々を生きているが、もともとメンタルが強い人間ではないので。

 

目標がない。

この先、数少ない友達は結婚をして家庭を持つことだろう。

僕は結婚もできないだろう。

人を養う力が自分にはない。それ以前の問題か

生活することが面倒臭くなりそうだ。

生きることが頑張れなくなりそうだ

 

そんな恐怖におびえている。

 

「あ部長、今まで頑張れたことはありません」

 

 

頑張らなくていいですよね。