1月某日。
会社の展示会と呼ばれるイベントがあった。
お客さんを招いてうちの商品どうですかぁという感じで観てもらういわゆるごく普通の展示会である。
弊社はありがたいことに多くの部署やグループ会社が存在し、商品の量も膨大で、当然若手社員は裏方を担当するのだが、、、、
上司「お客さん来たら対応しておいて」
俺「?????????」
んなわけで、商品の情報0いやマイナスの俺がお客さんを案内することとなった。
裏方の業務を担当しつつ、担当先のお客が来ないことを祈っていたが、客が来てしまった。
○○株式会社 ○○様 ご来場されました。
事前にお客様情報をQRコード登録をし、そのQRを展示会招待状と一緒にお客様のもとへ送る。
客が展示会受付でそのQRコードをスキャンすると、上のような文面のメールが自分の社用携帯に届くシステムとなっている。
そのメールを確認し、入口へお客様を迎えに行き、案内をするような流れだ。
便利なシステムである。
感心してる場合ではない。
早速、メールが届く。
入口へ急いで行き、お客を案内しようと思ったのだが、
問題が発生。
お客様氏名を登録していなかったため、メールで届くのは会社名のみ。
そもそも誰が来るのかわからなかったため、会社名しか登録をしていなかった。
つまり、誰が来たかわからない状態で、案内するお客を会場内で探し出さなきゃいけない状態である。
広い展示会会場。
一生懸命探した。はじめての展示会。自分にとって初めて展示会で案内するお客様。
誰が来たかわからない。人ごみ。誰も助けてくれない。数十分も探した。周りの冷たい目。何してるんだろうか俺は。
たぶん俺はちょっと泣いていた。
役員、社長などのお偉いさんなどがうようよいる中で新入社員が泣きながらお客はどこだ!と言って探し回っている姿はあまりにも滑稽であったと思う。
2回目のメールが鳴った。
来たお客さんは、お話をしていて1回も話が噛み合ったことがない暗い感じのメガネの女性のお客さんだ。
何で来たんだお前という気持ちを押し殺しながら、お忙しい中お越しいただきありがとうございますと言い-25点ほどの笑顔であいさつを済ませ、一緒に展示会を回った。
案内開始20秒ほどで間が持たなくなった。
少し逃げたくなったが、社会人としての自覚があるので我慢した。
そして、何よりもきついのがその女性のお客さん、商品についてめっちゃ質問してくる。新入社員の俺に手加減は0だ。
もちろん質問には何一つ答えられなかった。
入社1年目の俺が答えられる質問じゃない。と思うことにした。
ブースのちょうど半分あたりで限界が来た。
展示会の中心で助けを叫びたかった。
間は持たない、質問に答えられない、ブースはあと半分も残っている。
マジの本気で走って逃げようかと思った。心から逃げようとしていた。
少々のうめき声は発していたと思うが何とか乗り切った。
残り半分の記憶は残念ながらなくなってしまったのだが、不服そうに帰っていったお客さんの顔は何となく覚えている。
3回目のメールが鳴った。
190cmほどある大変な大男のお客さんだ。
大きな会場でもすぐ見つけられた。助かった。
助かるのはまだ早い、、、
前回の失敗を踏まえて、商品を知ったかぶりをし、今回は堂々と振る舞うことにした。
これは我ながらなかなかうまくいった。これでもかというくらい嘘ばっかりついたので、もうこの人とは今後商談はできないなと思いながら笑顔でお見送りをした。
3人目にして、成功体験である。
4回目のメールが鳴った。
1回目と同様、誰が来たかわからないパターンだった。
一生懸命探したが、泣きそうになったので探すのを諦めた。
諦めが肝心ということを学んだ。
このようにして素晴らしい展示会を終えることができた。
はよ会社辞めさせてくれ。
つうか、上司助けろよ。