皆さんは覚えているだろうか。
かつて存在していた牛丼チェーン「牛丼太郎」を。
牛丼太郎とは
もともと吉野家で1970年から80年にかけて副社長を務め、のちに松屋で顧問を務めた深澤五郎氏によって1983年、株式会社深澤が設立。
その株式会社深澤が経営していたのが牛丼チェーン「牛丼太郎」である。
この牛丼太郎。小規模チェーンながら多い時には都内を中心に約10店舗を展開。
一時期は一杯200円の安さを売りに、1999年12月期には売上高5億6000万円を計上していた。
しかし、大手チェーン店との競争激化に伴って販売の伸び悩みが続いた上、価格の切り下げを余儀なくされるなど苦戦を強いられていた。
また、当時はBSE問題の影響もあって徐々に売り上げは落ちていき、2011年12月期には1億5000万円まで下落。業績回復の目処が立たないことから2012年8月にはすべての店舗の営業を停止し、債務整理に着手していた。
しまいには2013年9月にさいたま地方裁判所より破産手続き開始の決定を受けてしまう。
調べてみると2006年頃から店舗が徐々に閉店しており、その頃から経営自体はかなり厳しかったようである。
閉店してしまった主な店舗
・中村橋店
・高田馬場店
・新宿店
・高円寺店
・中延店
・神保町店
・大久保店
・中野店
・蓮沼店
・野方店
・西新宿店
こう見ると新宿方面に展開していたようである。
タイムマシーン3号もヘビーユーザーだったらしい(笑)
丼太郎としての復活
2012年8月、東京23区内に残存していた全ての店舗が牛丼太郎としての営業を終了をしたが、そのうち2店舗は外看板の「牛」の文字を隠し、株式会社丸光が経営する「丼太郎」(どんぶりたろう)に変更して営業を続行。
この株式会社丸光は、牛丼太郎の残った社員によって設立されたものであった。
しかし、2店舗のうちの1店舗である代々木店は2015年に閉店。
2023年現在、残っているのは茗荷谷店のみとなっている。
行ってみた
茗荷谷駅を降りて1~2分。
丼太郎 茗荷谷店
出口側
いや、牛の字ちょっと見えてるし(笑)
看板もおそらくそのときのままだ。。(笑)
どうやら牛丼太郎の面影を残すことにより懐かしく思って足を運んでくれる客への期待もあるらしい。
ちなみに、、茗荷谷駅から出た通り。
この写真の奥に丼太郎があるのだが、なか卯、そして松屋があるという激戦区なのである。その中で生き残ってるのは凄すぎる。
メニュー
そして肝心なのがメニュー。
窓の反射が...(笑)
しかし、どのメニューを見ても安い。安すぎる。
こちらは普通の牛丼
牛丼(並)390円 ※味噌汁付き
【参考】各チェーン牛丼・牛めし( 並サイズ)
・すき家450円(味噌汁なし)
・吉野家498円(味噌汁なし)
・松屋430円(味噌汁あり)
※2025年1月現在
各チェーンが牛丼並盛で400円に到達する中、丼太郎は300円台をキープしている。
こう考えるとかなり安いし、そして味も美味い!
味は濃いめ、肉もやわらかくタレがよく染み込んだオーソドックスな牛丼。
我々はこれを求めていたのである。
そしてみそ汁はインスタントではない白味噌を使用しており、こちらもその他牛丼チェーンとはまた違った味。
そして何よりも気なるのが納豆丼。
他の牛丼チェーンにはないメニューでオリジナリティがありすぎる名物メニューである。他の牛丼チェーンというか他の飲食チェーンでもあまり見たことがない。
朝定食につくパターンはもちろんあるが、丼物としてレギュラーで販売しているのはおそらくこの丼太郎だけなのではないか。。
そしてこのどんぶり太郎でも、もともとは朝メニューだったが好評でレギュラーメニュー化したんだとか。
納豆丼(並)320円 味噌汁付き
いや、たぶん普通の納豆なんだけどなんか美味い。。
粒が少しデカい。海苔がのってる。熱々のご飯に。美味い。
パックから取り出す納豆ではなく、銀の寸銅からお玉ですくわれた納豆には不思議な美味さが隠されていた。
まとめ
BSE問題で米国産の牛肉が輸入できない事態となり、各チェーンが牛丼の販売を中止し、豚丼へ切り替えていく中、変わらず牛丼を販売、豚肉との混合肉や豪州産の牛肉、時には国産牛を使用するなど、あくまで牛丼にこだわっていた牛丼太郎(丼太郎)。
豚肉との混合肉の際はお客さんからの不満の声もあったようだが、それでもあくまで牛丼を提供し続けようという姿勢はとても素晴らしい。
そして低価格牛丼チェーンのパイオニアとも言われている丼太郎には是非ともできるだけ安い価格で庶民の味方としてこれからも絶滅することなく営業を続けてほしい。
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どん亭もかつては都内を中心に複数店舗展開していた牛丼チェーンだったが、2025年3月に本州唯一の店舗 新城店(神奈川県川崎市)が閉店。残りは沖縄にある3店舗のみとなる。
残り店舗数は0だが、大井町にある牛八というお店が牛友チェーンから独立した店主の牛友チェーンの流れをくむ店として名前を変えて生き残っている。
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